コラム

 

理学療法士の歴史を解説!日本での普及についても

リハビリイメージ

リハビリは、紀元前から行われていたと言われており、戦争をきっかけに発展してきました。

 
理学療法士を目指している方の中には「理学療法士の歴史ってどのくらいなんだろう」「何がきっかけでできた職業なのかな」と、理学療法士の歴史について知りたいと思う人もいるでしょう。

 
この記事では、理学療法士の歴史や今後の需要について詳しく紹介します。理学療法士に少しでも興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

理学療法とは?

リハビリ
理学療法とは、病気やケガ・老化などにより身体機能が落ちている人の改善や維持を図るための治療法です。なんらかの原因で、歩く、座る、立つなどの動作や関節や筋肉の曲げ伸ばしが不自由な人に、運動や電気刺激、マッサージなどを活用して、一人ひとりに合わせた治療を提供します。

 
理学療法は大きく分けて、「運動療法」と「物理療法」の2つの治療法があります。

 
運動療法は、体を動かして日常生活に必要な動作をスムーズにできるようにしながら、痛みも一緒に和らげることが目的です。
一方、物理療法では痛みの緩和や傷を癒やすほか、運動療法の効果をより高めるために、温水や電気・超音波など物理的な刺激を用いて治療を実施します。

 
このように、あらゆる方面から身体機能の維持と改善を図り、患者さんの生活の質を向上させるのが、理学療法です。

 

リハビリ・理学療法の歴史

車いす
リハビリや理学療法の歴史は古く、戦争にも大きく関わりがあります。ここからはリハビリ・理学療法の歴史について、下記3つの時代に分けて紹介します。

 
・紀元前のリハビリ
・戦争とリハビリ
・現代のリハビリ

 
順番に歴史を見ていきましょう。

 

紀元前のリハビリ

運動療法の始まりは、紀元前までさかのぼります。

 
紀元前460年頃、ギリシャのヘロディカスが、ボクシングやレスリングなどのスポーツを用いた運動療法を行っていた記録があります。

 
ヘロディカスの弟子であるヒポクラテスが運動療法によって、筋力の増強や回復の促進ができると述べており、運動療法の重要性は昔から知られていたといえるでしょう。

 

戦争とリハビリ

リハビリは、第一次世界大戦(1914年〜1918年)をきっかけに、大きく発展します。

 
19世紀には運動療法、電気を中心とした物理療法の利活用が広がり、第一次世界大戦中のアメリカにおいて、負傷した兵士を短期で社会復帰させるためのプログラムとして、リハビリが行われていたとされています。

 
第二次世界大戦(1939年〜1945年)においても、負傷した兵士の社会復帰は大きな問題となり、リハビリテーションという言葉が、「障害者に対する機能回復や能力向上、社会復帰」という意味を持つようになりました。

 
そして、1947年にはアメリカではじめて「リハビリ医学」が、独立した専門領域として認められました。古くから行われていた身体機能に対する医学分野と、戦争という社会課題をきっかけに生まれたリハビリテーションの分野が一つになったのです。

 

現代のリハビリ

現代のリハビリは、職場復帰や経済的自立を支援する目標にとどまらず、障害の原因となる疾病などの予防や治療のためのリハビリテーションも図られるようになっています。

 
あらゆる医療技術の進歩やIT・AI技術の活用によって、以前よりもはるかに高度な理学療法・リハビリを提供できるようになったからです。

 
時代の移り変わりとともに疾病とリハビリテーションを通じた活動のゴールが変わっていき、現在は高齢者に対する活動性維持や疾病・障害と共に生活していくことへの支援が課題となっています。

 

日本での理学療法士誕生の歴史

参考書
日本での理学療法士に関する歴史について、以下の内容を紹介します。

 
・日本の理学療法の歴史
・日本ではじめての理学療法士
・理学療法士の活躍の拡大

 
それぞれ解説します。

 

日本の理学療法の歴史

日本の理学療法は明治時代から始まります。かなり昔から物理療法やマッサージなどの治療はありましたが、西洋医学のような科学的根拠に基づいたものではありませんでした。

 
リハビリテーションが予防や治療とならぶ医療の重要部門として、はじめて言及されたのは1960年(昭和35年)です。

 
1965年には、「理学療法士および作業療法士法」が施行され、理学療法士の国家資格が創設されました。これにより、理学療法士の資格を有する者が、医療機関や福祉施設などで理学療法を実施できるようになったのです。

 

日本ではじめての理学療法士

日本ではじめて理学療法士が誕生したのは1966年(昭和41年)です。

 
1963年に理学療法士・作業療法士養成校として、国立療養所東京病院付属リハビリテーション学院が開校し、1965年には「理学療法士および作業療法士法」が施行されました。

 
このとき「理学療法」や「理学療法士」が公式に定義され、国家試験の基盤が整います。

 
1966年には、第1回理学療法士・作業療法士国家試験が実施され、183名の理学療法士が誕生し、現在につながっています。

 

理学療法士の活躍の拡大

1970年以降、日本では高齢化の進展や少子化などによって医療や福祉のニーズが高まりました。そのため、病院だけでなく介護施設やスポーツ施設など、さまざまな場所で活躍の場が広がったのです。

 
また、理学療法の技術や知識も大きく進歩し、運動療法や徒手療法、物理療法などさまざまな手技を用いて、患者さん一人ひとりのニーズに合わせた理学療法の提供が可能になりました。

 
今後も、高齢化の進展や医療技術の進歩などにより、理学療法士の需要はますます高まっていくと考えられます。

 

理学療法士の今後の需要

理学療法士

理学療法士の今後の需要は高まると予想できます。その理由は以下のとおりです。

 
・高齢化の進展による需要の増加
・健康志向の高まりによる需要の多様化
・医療技術の進歩による需要の拡大

 
それぞれ解説します。

 

高齢化の進展による需要の増加

日本は高齢化社会であり、高齢者の人口割合が28%を超えています。高齢化に伴い、病気やけが、老化による身体機能の低下を抱える人が増加することが考えられるのです。

 
理学療法士は、高齢者の身体機能を改善し、自立した日常生活を支援する役割を行います。

 
そのため、高齢化が進むにつれて、慢性疾患や運動機能の低下によるリハビリテーションの必要性は増し、理学療法士の需要はますます高まっていくでしょう。

 

健康志向の高まりによる需要の多様化

近年は健康志向が高まり、スポーツや運動を積極的に行う人が増えています。

 
健康で活動的なライフスタイルを長く維持したいと、予防医療の観点から、健康の維持・増進を目的としたリハビリテーションへのニーズが高まっているのです。

 
理学療法士は、身体の動きに関する専門家なので、健康的な身体づくりや転倒予防のための運動など幅広い需要に対応できます。

 
人々の健康志向の高まりは、理学療法士に対する需要の増加を促しているといえるでしょう。

 

医療技術の進歩による需要の拡大

医療技術が進歩し、以前は治療が困難だった疾患や障害の治療が可能になったことで、リハビリを必要とする患者さんが増加しています。

 
また、医療技術の進歩は理学療法の質と効果を向上させ、理学療法士の専門性をより重要なものにしています。

 
例えば、新しい医療機器を使うことで、治療がより精密に行えるようになり、患者さんの状態に合わせたより良いリハビリを提供することが可能です。また、データを元にリハビリの内容を決める治療計画では、患者さんの状態に関する大量のデータを分析して、より個別化された効果的なリハビリ計画を立てられます。

 
そのため、医療技術の進歩は、理学療法士の専門知識やスキルの重要性を高め、今後も需要が増えると考えられるでしょう。

 

理学療法士の歴史について

理学療法士と夫婦
理学療法の歴史は古く、戦争で負傷した兵士を短期で社会復帰させるための治療を行ったことをきっかけに、大きく発展しました。

 
日本の理学療法は明治時代から始まり、現在では病院だけでなく介護施設やスポーツ施設など、幅広い分野で理学療法士が活躍しています。

 
現在の日本は、高齢化や健康志向が高まり、理学療法士の需要は高まっています。今後、医療技術の発展や時代の変化に伴い、より必要とされるでしょう。

 
下関看護リハビリテーション学校では、どのようにしたら社会貢献できる理学療法士を育てられるかを重要視しています。学生のときから専門職とチーム医療について学ぶ機会があり、より実践的な内容を学ぶことが可能です。

 
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